Dr. Tairaのブログ

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生ゴミ処理における含水率

 
プランター生ゴミ処理を始めて4週間近くになりましたが、減量率は約70%です。この減量率は冬期においては普通にあることですが、必ずしもいいとはいえない状態です。この原因としてやはり水分の抜けが悪いことにあると思われます。
 
そこで一昨日の処理物について含水率を測定したところ、57%となりました。生ゴミ処理の最適の含水率が40–50%ですので、やはり水分過多の状態になっています。含水率57%の処理物の状態を図1に示します。処理物がベトベトしてダンゴ状態になっているのが分かると思います。かすかに生ゴミ臭もします。水分が多いのは、処理器の温度が十分に上がっていないことが主原因です。
 
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図1. 含水率57%の処理物の状態
 
ウェブ上で、生ゴミ処理には含水率60%がベストという情報をよく見かけますが、明らかに誤りです。図1のように57%ですでに粘っこいダンゴ状態になります。
 
50%以上の水分量になると通気が悪くなり、生ゴミ分解で主要な役割を担うアクチノバクテリアの働きが低下します。代わりにプロテオバクテリアという発酵性の性質をもつバクテリアが嫌気的に増殖し、臭いの発生をもたらします。処理がうまくいっている処理器では安定期で40%程度の含水率に収束していきます。
 
水分過多を防ぐ対策としては処理器を日光によく当てて温度を上げることです。処理器内が20℃以上になれば、微生物が働くようになり、その代謝熱自身でまた温度が上がっていきます。処理が軌道になれば冬期においても常時40–60℃の温度帯になり、この状態では処理物はポロポロ、サラサラの状態になります。