Dr. Tairaのブログ

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ハトの営巣


ハトは私たちに最も馴染みの深い鳥の一つです。日本だけでも13種がいるそうですが、私たちがよく見るハトはキジバトカワラバト(いわゆるドバト)です。これらは世界的に家禽化されて広まった品種であるため日本固有の在来種とはみなされてはいません。しかし、今ではこれらの品種が逆野生化していて家屋の近くでも営巣がみられます。

繁殖は年中可能だといわれていますが、割と5〜6月には産卵が多いように感じます。

ちなみ、ハトは鳥獣保護法によって保護されており、申請・許可なく、捕獲、駆除、ペット化することは、軽犯罪法に触れてしまう行為となってしまいます。とくに日本では、5月10日から5月16日の期間を、愛鳥保護週間と呼んでいる保護強化期間です。

以前住んでいたウチでは、コンクリートの壁で遮蔽されたベランダがあったため、ハトがよく営巣していました。営巣された場合には、ヒナが巣立ちをするまで放っておくしかありません。

写真1は営巣の様子です。ベランダにはラックに乗せた植木鉢生ゴミ処理器(https://blogs.yahoo.co.jp/rplelegans130/16117212.html)を置いていたのですが、ある日それをどかしたところ、下にカワラバトがいて営巣に気づきました。

イメージ 1
写真1

こちらを横目でジッと睨んでいて、近づいたら恐ろしい勢いで攻撃してきました。ちょうどスネのあたりをクチバシで突かれ、両方の羽でバシバシ叩かれました。やはり営巣状態のハトは強いですね。

見ると卵が2個ありました(写真2)。ハトは1〜2個産卵することが知られていますが、ほとんどの場合2個のようです。私はこれまで5回産卵を見ましたが、すべて2個でした。

イメージ 2
写真2

それから4日後、ヒナが生まれていました(写真3)。ヒヨコと同じく黄色をしています。

イメージ 3
写真3

ヒナが孵化から巣立ちするまでの期間は約一ヶ月です。その間ミルクを飲んで育ちます。

鳥類では、消化管の食道か咽喉の近くに膨らんだ形状になっているソノウ(素嚢)という部分があり、そこに食べたものを一時的に蓄えておくことができます。ハトのソノウからはミルク(ソノウ乳、鳩ミルクと呼ばれる)が分泌されます。ヒナは親鳥の口にくちばしを差し入れてミルクを摂取します。このミルクの主成分は主にタンパク質であり、高栄養価です。

また、食べた餌をしばらく素嚢に保持することで、水分により食べたものを柔らかくし、それを吐き戻してヒナに与えることができます

上からさらに3日後の様子です(写真4)。顔が少し黒ずんできました。

イメージ 4
写真4

授乳の様子をカメラに収めようとしましたが、警戒心が強く、時には攻撃をしてくるので、うまく撮れませんでした。そっとしておくことにしました。

ハトの糞にはクリプトコックスという真菌(カビ)が生えやすいことが知られています。人間の体内にクリプトコックスが入ると(経口感染した場合)、クリプトコックス症という肺の病気になることあります。健康な大人はほとんど発症することはありませんが、免疫が低下している人や子供は感染リスクが高く、稀に発症すると重症化することもあるので、注意が必要です。

とくに乾いた糞の掃除には要注意。