Dr. Tairaのブログ

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ゴマダラチョウとアカボシゴマダラの蛹

この時期、アカボシゴマダラの越冬幼虫はあちこちの公園などで蛹化し、次々と羽化しています。近くの緑地の1つでも春型(白化型)の成虫が乱舞しているところを目撃しました。同属異種のゴマダラチョウも蛹化し、これまで1頭の成虫の羽化を同じ緑地で目撃しました。
 
蝶が飛ぶ時期になったなと思いながら、久しぶりに保育社から出版されている原色日本蝶類生態図鑑という権威ある図鑑のページをめくってみました。ゴマダラチョウの部分の記載をふむふむと頷きながら見ていたら、あれっ?という記述に目がとまりました。
 
ゴマダラチョウの蛹の部分を見ると「アカボシゴマダラやオオムラサキに似ているが、腹部背稜部各節の前端部がするどく突出しているので識別は容易である」とあります(図1)。
 
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図1. 原色日本蝶類生態図鑑のゴマダラチョウに関する記載
 
そこで、ゴマダラチョウとアカボシゴマダラの蛹をそれぞれ写真1写真2に示します。
 
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写真1
 
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写真2
 
写真からわかるように、図鑑で言っている背稜部各節前端の突出(ギザギザ)はアカボシの方で顕著です。明らかに図鑑は間違っています。ときどきこういう誤りは見かけますね。
 
ついでに言うと、ゴマダラチョウ天敵の部分には寄生ヒメバチのことは書いてありますが、野鳥の捕食については記述がありませんね(図1)。オオムラサキのセクションには書いてあるのですが。個人的にはゴマダラチョウの最大の天敵は野鳥だと思っています。