Dr. Tairaのブログ

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世界難民の日


6月20日は「世界難民の日」(World Refegee Day) です。私は大学院生の頃、ヴェトナム人の難民と知り合いになった経験から、多少なりとも難民問題に関心を持ってきました。

難民は世界的な問題です。1950年、この問題の解決と難民の保護についての活動を先導する国際的組織としての国連難民高等弁務官事務所 (UNHCR:United Nations High Commissioner for Refugees)が、国連総会決議によって設立されました。さらに、「世界難民の日」が2000年12月4日の国連総会で決議されました [1]

今日が世界難民の日であることを、ほとんどの人は知らないと思います。日本の主要メディアやTVも日本がW杯2018の初戦に勝ったことで盛り上がっていて、取り上げているところは、米国系のCNN.co.jp. [2] を除いてないようです。

その中で、NHK暮らし解説では、今日が世界難民の日であることを放送していました。世界難民の日に合わせて、難民用の最新のテントが東京で設置されたことを紹介していました(図1)。

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図1. 難民用の最新のテント(2018.6.20 NHK暮らし解説より)

世界の難民の数は、2017年末で何と6,850万人であり、世界人口の102人に1人が難民という計算になります。内訳は図2に示すとおりです。

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図2. 世界難民の数とその内訳(2018.6.20 NHK暮らし解説より)

世界的に難民が発生しているところは、シリア、アスガニスタン、南スーダンなど、アジアやアフリカの国々です(表1[3]

最近では、ミャンマーにおけるロヒンギャ族難民がよく知られており、その数は70万人を超えました [4]。上記番組でも、ロヒンギャ族難民に対してミャンマー政府軍による殺害や性的暴行が横行している現状を伝えていました。

表1. 難民発生の多い国(外務省HPより[3])
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一方、世界難民の受け入れについては、第三国定住事業として世界各国で積極的に行われています。定住は別として、100万人を超える難民を受け入れている国としては、トップのトルコをはじめとして、ドイツ、パキスタンレバノンなどがあり、難民発生国の近くの国が多いですが、ドイツのような特別の国もあります。ちなみにアメリカの受け入れ数は10万人弱です。

ドイツでは多数の難民を受け入れたことによる、多少なりの社会の混乱を招き、右派を中心として受け入れ反対の運動も起きました。それを受けて、年間の受け入れ上限を年間20万人としました [5]

翻って、日本の状況はどうでしょうか。外務省のHPを見ると、難民発生国のデータは表ページにすぐに出てきますが [4]、第三国定住事業の現状については表には出てきません。pdf版をダウンロードしてやっとみることができます(図3 [6]。対応はお寒い限りで、年間30人以下となっています。

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図3. 日本による難民受け入れ対策の現状(外務省HPより[2])

日本では、政府の無策もあって、これから極端に人口が減少していきます。30年後には3,000万人を超える人口減となり、国自体(生産、税収、社会保障・福祉など)が行きゆかない状況になると警告されています(https://blogs.yahoo.co.jp/rplelegans130/16304661.html

人道的かつ労働力確保としての観点から、移民、難民の受け入れも含めて、国の劣化・弱体化を防ぐ対策に早急に手を打つべきだと思います。


参考文献


2. CNN.co.jp.: 世界の難民、6800万人超と過去最多に 国連発表. 2018.06.19 6https://www.cnn.co.jp/world/35121093.html

3. 外務省:難民の出身の多い国. https://www.mofa.go.jp/mofaj/kids/ranking/refugee.html

4. 国連UNHCR協会:支援の現場から/最新ニュース. https://www.japanforunhcr.org/archives/14342

5. CNN.co.jp: ドイツ与党、難民受け入れ上限設定で合意 年間20万人. 2017.10.10 https://www.cnn.co.jp/world/35108534.html

6. 外務省:難民問題と日本・日本の海外・国内での難民問題への取り組み. https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/nanmin/index.html