Dr. Tairaのブログ

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打ち消し広告


消費者庁は昨年7月に「打消し表示に関する実態調査報告書」を発表しました。そして昨日(2018年6月7日)「広告表示に接する消費者の視線に関する実態調査報告書」をさらに発表しました [1]。それを受けて今朝のNHKの暮らし解説では、打消し表示を取り上げていました。

打ち消し表示とは、商品の宣伝・表示内容がよく読むと一部否定されていたり、例外規定があったり、条件付きになっていたりする表示のことで、誇大表示とともに問題になっています。

消費者庁の同調査では、打消し表示は以下の7型に分類されています。

1) 例外型 例: ~は対象とならないことがあります
2) 体験談型 例:個人の感想であり、効果には個人差があります
3) 別条件型 例:~が必要です、~のお客様限定
4) 非保証型 例:結果には個人差があります
5) 変更可能性型 例:価格・内湯は予告なく変更する可能性があります
6) 追加料金型 例:別途、初期費用がかかります
7) 試験条件型 例:○○規格対応の場合

重要なのは、「消費者に目立たなく打消し表示をすることは違法である」消費者庁が認定していることです。違法な例の一つとして、健康飲料であたかも効果があるようなモニター意見を載せておきながら、隅っこに目立たなく「個人感想であり、効果・効能をあらわすものではない」と表示していることが、挙げられていました(図1)。

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図1. 違法な打消し表示の例(表示が目立たない)(2018.6.8 NHK暮らし解説より)

もう一つの例として、スマートフォン特有の打消し表示の例が挙げられていました。すなわち、商品表示の長い文があって下までスクロールしないと打消し表示に気づかないという例で、これも違法です(図2)。

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図2. 違法な打消し表示の例(スクロールしないと表示にたどり着けない)(2018.6.8 NHK暮らし解説より)

このような打消し表示は、実際に消費者は気づかないことが多いです。図3のように、15人の対象者のうち一つの打消し表示に気づいたのが4人、もう一つの表示についてはたった2人であることが例として挙げられていました。

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図3. 違法な打消し表示の例-1(2018.6.8 NHK暮らし解説より)

現状では、打ち消し表示に気づかずに商品を買ってしまった場合、返金を要求することはむずかしいようなのですが、「とりあえず消費生活センターに連絡を」と勧めていました(図4)。

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図4. 打消し表示に気づかずに買ってしまったら連絡を(2018.6.8 NHK暮らし解説より)