Dr. Tairaのブログ

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大気中二酸化炭素の増加

昨日、温暖化指標昆虫であるツマグロヒョウモンを取り上げて、地球温暖化が進行していることを話題にしました。
 と思ったら、今日CNNが、大気中の二酸化炭素(CO2)濃度が410 ppmを越えたことを伝えていました [1]
 
米国ハワイ島のマウナ・ロア山に位置するマウナロア観測所では、その大気変動の影響を受けにくい高地を生かして、温室効果ガスなどの変化を1957年から観測しつづけています。私が高校生の頃(1967–1969年)は、その観測所のデータを基に、大気中のCO2濃度は約320 ppmと教わったものです。
 
ところが、今年の4月の平均でついに410 ppmを突破したことをマウナロア観測所は発表しました(図1)。過去60年以上にわたる観測史上、410 ppmを超えたのは初めてだそうです。

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図1. 過去60年間の大気中のCO2濃度の増加(文献1より)
 
ハワイで観測されているCO2濃度の変化は「キーリング・カーブ」と呼ばれていますが、図1のカーブを見るとは急激な上昇を続けていることがわかります。

太古の昔から大気中のCO2濃度は大きく上下に変動していますが、過去80万年間において300 ppmを超えたことは一度もありません。図2には有史年代におけるCO2,、メタン亜酸化窒素温室効果ガスの濃度の変化を示しますが、産業革命以降急激に上昇していることがわかります図2は6年前までのデータですが、今年CO2はさらに410 ppmになりましたので、グラフの上限を突き抜けてしまいます。

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図1. 有史年代における大気中のCO2、CH4、N2O濃度の変化
IPCCおよびWMOによるデータ)

自然現象では過去80万年間300 ppmを超えなかったわけですから、産業革命以降の急激な温室効果ガスの濃度上昇は明らかに人間活動が原因です。
 
このままのペースだと2050年になる前に大気中のCO2濃度が500 ppmを超え、深刻な状況になるということが予測されています。
 
参考文献
 
[1] CNN.CO.jp: 二酸化炭素濃度、初の410ppm突破 ハワイ観測所. 2018年5月4日. https://www.cnn.co.jp/fringe/35118686.html?ref=rss