Dr. Tairaのブログ

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メタンの放出で地球温暖化が加速

今日は平成最後のクリスマスですが(何の脈絡もない言い方ですみません)、朝からテレビ(TBS「あさチャン」)で深刻な話をしてました。地球温暖化と気候変動が加速し、私たちの生活が激変するという話です。
 
その原因の一つが大気中へのメタンの放出です(図1)。メタンや二酸化炭素の放出と地球温暖化については先のブログ記事でも取り上げましたが最も厄介なグローバルな環境問題の一つです。
 
 
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図1. 温室効果ガスの一つであるメタン
 
なぜなら、メタンの放出の原因が永久凍土の融解にあるからです。ロシア・シベリアには世界最大の面積を誇る広大な永久凍土が横たわっていますが、地球温暖化によってこの永久凍土が溶け出し、これまで地中に閉じ込められていた大量のメタンが放出されているのです(図2)。
 
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図2. ロシア・シベリアに広がる永久凍土の地球温暖化による融解

番組では、メタンの放出によって永久凍土が陥没し、あちこち巨大な穴ができていることを紹介していました(図3)。

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図3. シベリアにおけるメタンの放出が原因でできたと考えられる巨大な穴
 
自体が深刻なのは、メタンの温室効果係数が二酸化炭素の25倍であること、そしてこのメタンの放出を人類はもはや止められないということです。つまり、これから二酸化炭素の増加を抑えられたとしても、現在の地球の気候レベルでも永久凍土は溶け続け、メタンは放出されるということになります。そして1tのメタンの放出は、二酸化炭素25tに匹敵する温室効果をもたらすということになります。
 
明らかにメタンの放出が地球温暖化を加速し、その結果、異常気象の連鎖が起こり、私たちの生活が悪い方向へ激変するということになります(図4)。
 
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図4. メタン放出が地球温暖化を加速し異常気象の連鎖につながる
 
環境省は、未来(2100年)における気候を予測したニュースサイトを作っています(図5)。それによると、2100年夏には日本全国軒並み40℃を超える気温(東京では44℃)となることが予想されています。
 
これは控えめに見積もった気温であり、実際にはこのレベルの気温は2050年にもやってくるとの予想もされています。もう夏には外は歩けない気温です。
 
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図5. 2100年夏における日本の各地の気温の予想
 
そして、巨大な台風もやってきます。風速90 mという竜巻のような台風です(図6)。
 
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図6. 2100年における巨大台風の来襲の予測
 
考えてみれば、前世紀末に世界の著名な科学者を対象にしたアンケート調査が実施され、「地球温暖化で人類の未来はどうなりますか」という問いに対して、「人類は絶滅するでしょ」とあっけらかんに回答した人が多かったことを記憶しています。
 
脳の進化と文明・科学技術の発達は、集団レベルでは必ずしも人類を幸せに導かないということになりそうです。「生き続ける」ために「食べる」などの基本的な生物学的価値が、経済的価値に置き換えられた結果、目標も定めず、ひたすら金と欲と目新しさと利便性で突き進む、哀れとも言うべき人類の姿に変わってしまいました。
 
悲観的なことを言っても始まらないのですが、それほど自体は深刻であるということです。この先少なくとも50年以上は生き続ける若い人たちが最も生活に影響を受ける世代です。早急に真剣に問題に取り組まないと取り返しのつかにことになります。チコちゃん風に言えば、「ボーッと生きてんじゃねえよ!」と言ったところでしょうか。