Dr. Tairaのブログ

生命と環境、微生物、科学と教育、生活科学、時事ネタなどに関する記事紹介

アカボシゴマダラ非越冬型幼虫のその後


アカボシゴマダラ Heitina assimilisゴマダラチョウ Hestina japonica と同様に、越冬型4齢幼虫で冬を越します。ところが、越冬型になりきれず頭部突起が伸びたままの非越冬型が、少数ですがこの冬見られました。このような冬の非越冬型はゴマダラチョウでも見られます。

私はこれらの非越冬型幼虫がどのように冬を越すのか、興味をもって経過観察してきました。非越冬型は3齢、4齢、終齢のものが見られ、産卵・孵化後の越冬型への移行への時間的タイミング(遅すぎ、あるいは早すぎ)が合わなかったものと思われます。

写真1は3齢幼虫で、1月5日に撮影したものです。エノキの幼木の幹にしがみついていましたが、約1ヶ月後に剥がれて落ちた乾燥状態で見つかりました。

イメージ 1
写真1

写真2は同じくエノキの幼木の幹上で見つかった終齢と思われる個体です。撮影は同じく1月5日ですが、1ヶ月後にやはり乾燥してミイラ状態になっていました。

イメージ 2
写真2

写真3は落ち葉の下で越冬していたもので、他の非越冬型が次々と死亡していく中最後まで粘っていましたが、今日落ち葉を開けてみるとやはり乾燥化していました。かつ胴体にカビが生えていました。

イメージ 3
写真3

頭部を見ると、まるで生きているかのようにいつもの可愛らしい顔をみせてくれました。

イメージ 4
写真4

ひそかに淡い期待感もあったのですが、やはり自然は厳しいです。これで経過観察していた10頭余りの非越冬型幼虫はすべて土にかえりました。