世の中には変な名前の植物がたくさんありますが、その中でも最もかわいそうな名の植物の一つがヘクソカズラ(Paederia scandens)でしょう。漢字で書くと屁糞葛(屁屎葛)となり、ご丁寧にも屁と糞がダブルでついています。
アカネ科ヘクソカズラ属のつる性多年草で、ヤブガラシやクズなどと同様に、やたらといろいろなものに巻きついて生える植物です(写真1)。ガの仲間である、ホシホウジャクやホシヒメホウジャクの幼虫の食草にもなります(https://blogs.yahoo.co.jp/rplelegans130/16410809.html)。
写真1
名前とは裏腹に、この時期小さなきれいな花を咲かせています(写真2、3)。鼻を近づけてみると、ほのかにいい匂いがします。
写真2
写真3
書物やインターネットの情報では、葉や茎に悪臭があることからヘクソカズラの名の由来になったとされています。しかし、私は毎年、庭のバラやサザンカなどに絡みつくヘクソカズラを取り除く作業を行なっていますが、作業中この草が臭いと思ったことは一度もありません。まったく「普通」の草の臭いです。
今日、また葉や茎を切り取ってきて(写真4)すりつぶしてみましたが、いわゆる草の香りであり、「ヘクソ」の感じはありませんでした。
写真4
確かに、刈り取ったものを部屋に1日以上置いておくと少し臭ってきますが、これは「普通の草」でも起こり得ることです。刈り取ったものをしばらく放置しておいたことで臭いが発生し、この経験から「ヘクソ」という名前になったのかもしれませんね。