Dr. Tairaのブログ

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藤田嗣治展


今日はあいにくの天気でしたが、仕事のついでに藤田嗣治に行ってきました。藤田嗣治は、第一次世界大戦前よりパリで活動し、第二次世界大戦中は日本で過ごし、戦後フランスに帰化した日本人画家です(1886年生〜1968年没)。オカッパ頭で知られています。

私は中学生のときに美術の先生に紹介されて初めて彼を知りました。女性や猫が描かれた油絵の写真を見ながら「どことなく水彩画の感じがしますが?」と先生に素人質問したことを覚えています。先生は「乳白色を絵のベースとして、墨を使って線を書く骨描きという日本画技法を使っているのでそう見える」と教えてくれました。「ああ、そうなんだ」と、よくわからないまでも納得したことを記憶しています。

それ以来、藤田嗣治が好きな画家の一人になったわけですが、まとまった本物の絵を見る機会は今回が初めてでした。会場の東京都美術館に着くと、予想したよりも人出が少なく、ほとんど並ぶことなくチケットも買えて、すんなりと入ることができました。

写真1は会場の出口にあった写真撮影コーナーです。彼のオカッパ頭のパネルがありました。背後に見えるのは代表的な油彩画「カフェ」です。

イメージ 1
写真1

藤田嗣治の本物の絵を見てやはりすごいと思いました。乳白色を出すために彼独自の薬品を調合した絵具を使っていたそうで、透き通るような女性の肌に、写真ではわからないような実に細い線が描かれていました。美術の先生が言っていたとおりです。

自画像がいくつかありましたが、猫といっしょの自画像には、日本画で使う穂先の細い面相筆と硯が描かれていました。面相筆と墨を使って、あのほとんど見えないような細い淡いラインを出しているのだと納得しました。

おもしろかったのは彼のサインです。作品中のサインはフランス語式の「Foujita」とローマ字表記の「Fujita」の二通りがあり、第一次大戦前後のパリ時代の作品にはFoujitaと書かれ、その上に漢字で「嗣治」とありました。一方、太平洋戦争前後の日本滞在中ではT. Fujitaと書かれていました。

さらに、戦後のフランス帰化後の作品表記は、洗礼名であるレオナール・フジタ(Léonard Foujitaとなっていました。一方で、藤田自身はレオナルド・ダ・ヴィンチへの尊敬から、手紙類などの自署名では「レオナルド(フヂタ) 」としていたようです。

鑑賞後はお決まりの付設の売店で、藤田嗣治展作品集を買いました(写真2)。Foujitaの文字が見えます。

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写真2

あと、クリアポケットや絵葉書も(写真3)。つい、買っちゃうんですよね。

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写真3