2050年へ向けた縮小日本の衝撃
図1. 2050年における日本の人口年齢構成の様子(いわゆる棺桶型になると予測される)(2018.5.20 NHKスペシャルから)
現在の人出不足は介護、建設、運輸業などで著しく、若い人がやりたがらない、いわゆる3Kの仕事で集中しています。政府は好景気が就職状況をよくしていると宣伝していますが、実態は大量退職に伴い3Kを中心とする仕事が増え、その労働力を最後の砦として高齢者自身が補填しているにすぎません。
すでに労働者に占める高齢者の割合は12.4%と過去最高になっており、先進国の中でも群を抜いています。
しかし、高齢者による労働力補填も限界があり、さまざまなきしみが出てきています。具体的には、高齢による体力や能力の低下に伴う事故や仕事の効率低下です。
番組では、日本よりも10年遅れて棺桶型になる台湾が、すでに26年前に外国人労働者の確保に手を打っていたことが紹介されていました。図2に示すように、日本と台湾では外国人労働者の受け入れシステムが大きく異なり、日本政府の対策が遅れていることがわかります。
図2. 台湾と日本の外国人(ヴェトナム人)労働者の受け入れに関するシステムの違い(2018.5.20 NHKスペシャルから)
番組の後半でサセックス大学のロナルド・スケルドン名誉教授のコメントが紹介されていました(図3)。すなわち、日本はこれほど高齢化に直面しながら移民を受け入れていない特異な国であることです。民族的同一性を保つことは気持ちいいことであっても、多様な労働力確保に舵を切らなければ国が終わってしまう現実があることを指摘しています。
前のブログ記事(https://blogs.yahoo.co.jp/rplelegans130/16302876.html)で、いまの学生や若者が就職状況が売り手市場になっていることを好景気のせいだと思っていることを述べましたが、実際は団塊の世代の大量退職の時代がやってきて、景気とは関係なく労働力不足になっているのが現実です。
労働力として再雇用されている高齢者は、人口問題や人出不足を直に感じでいます。
一方で、今の若者が高齢者よりもこの問題に無頓着で、好調な就職状況の実態を見誤っている現状は深刻だと思います。2050年に現役世代として最も影響を受けるのは、今の20-30代の若者のはずですから。