Dr. Tairaのブログ

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感染症学会のシンポジウムを視聴して思ったこと

はじめに

昨日(4月18日)、日本感染症学会学術講演会特別シンポジウム「COVID-19 シンポジウム -私たちの経験と英知を結集して-」が開かれました。シンポジウムはYouTubeでライヴ中継されることになっていましたので、私は事前から非常に興味を持ち、当日はほぼ全編をPCを通して視聴しました。

講演者は6名でしたが、そのうちの5名が政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議のメンバーでした。そして冒頭の開会の言葉と、演者ごとに替わる司会者も3名の専門家会議メンバーが加わり、まさに専門家会議によるシンポジウムという様相を呈していました。以下に講演者と司会者(敬称略)を挙げておきます。

                                

開会の言葉:舘田一博*(東邦大学医学部)

講演1:尾身茂*(地域医療機能推進機構)/司会:脇田隆字*(国立感染症研究所

講演2:押谷仁*(東北大学)/司会:和田耕治 (国際医療福祉大学

講演3:川名明彦*(防衛医科大学)/司会:三鴨廣繁 (愛知医科大学

講演4:釜萢敏常*(日本医師会)/司会:岡部信彦*(川崎市健康安全研究所)

講演5:武藤香織* (東京大学)/司会:大曲貴夫 (国立国際医療研究センター

講演6:土井洋平 (藤田医科大学)/司会:森島 恒雄 (愛知医科大学

閉会の言葉:岩田敏(国立がん研究センター中央病院

*印は政府専門家会議メンバー

                                     

専門家会議は、いまメディアやSNS上でも話題になっている、COVID-19対策として日本独自のクラスター戦略を立ち上げた中心組織です。これは、世界で主流となっているような、PCR検査で徹底的に感染者と感染経路を探し出すというやり方ではなく、彼らがクラスターと呼んでいる集団発生と周辺の孤発事例を集中的に探し出して感染経路を明らかにし、クラスター(集団発生)連鎖を防ぐという試みです。その実行部隊として、クラスター班というチームが作られています。

クラスター戦略で重要なこととして、クラスター発生に関わる重症化しやすい感染者を中心に、患者確定と有症状濃厚接触者追跡のためにPCR検査を集中的に適用するということが挙げられます。つまり、この戦略では、原則、無症状感染者は検査対象から外されています

1. PCR限定のクラスター戦略の問題点

少し前置きをしますが、政府のクラスター戦略については、検査の網から漏れてしまう不顕性感染からの二次感染を防ぐことできず、市中感染を広げてしまうという、当初からの批判がありました。私も繰り返しこのブログやツイッター上で批判を繰り返してきました。

国のクラスター戦略に私が疑問を持ち始めたのは、当初からメディアや世論によって「なぜPCR検査がなかなか増えなのか」という批判の中で、2月25日のテレビのワイドショーが厚生労働省の見解を伝えていた頃からです(図1)。この時、厚労省は市中感染は稀なケースであり、検査が不足しているという認識はないと答えていますが、この楽観的な思い込みに私は驚きました。

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図1. テレビが伝えたPCR検査不足という指摘に対する厚労省の見解(2020.02.25. テレビ朝日「モーニングショー」).

私は当日、政府の「新型コロナウイルス感染症対策本部」から出された「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」(図2)を読んで、PCR検査が増えない理由について「そうか、なるほど」と思ったと同時に、ここで書かれていた方針に非常に危機感を抱きました。なぜなら、そこには以下のように、それまでの「擬似患者に対する医師の判断によるPCR検査」から「重症者等の入院患者確定のためのPCR検査」へと、検査方針が変更されていたからです(図2-注1, 注3)。

これは前のブログ記事「パンデミック」でも述べたように、2009年の「新型インフルエンザウイルス診断検査の方針と手引き」をベースにした変更とも考えられますが、なぜか、今回、民間も含めた地方衛生研究所の検査機能の向上という項目(図2-注2)は消されています。

この「新型インフル手引き」には、疫学調査により感染源が特定できなくなったらPCR検査を中心とした検査から、ウイルス性状解析を中心としたウイルスサーベイランス体制へ移行する、という趣旨が書いてありますが、今回はクラスター戦略を始動時に当たる2月25日時点での今後の方針という変更です。そのような狭い範囲の積極的疫学調査を優先するような方針が、パンデミックにおける感染拡大抑制対策として通用するわけがありません。

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図2. 新型コロナウイルス感染症対策の基本方針におけるPCR検査の位置付けの変更(2020.02.25 厚生労働省HPより抜粋・注記)

上述したように、クラスター戦略における患者確定と限定的濃厚接触者のためのPCR検査という方針では、検査の網にかからないサイレント・キャリアー(潜在的感染者)が増加し、市中感染の拡大と未検査感染者の健康被害につながると率直に思いました。そして、この見解を最初に述べたのが、3月4日のブログ記事「国内感染者1,000人を突破」です。

予想したとおり、3月初旬に時点においてすでに感染経路不明者が多数出現し、そして現在、市中感染の広がりとともに、首都圏での確定陽性者の過半数感染経路不明者になっています。しかも、感染者の増加に検査が追いついていないために、検査人数に対する陽性率がきわめて高く、毎日公表される確定陽性者数も、入院させる患者数を決めている以上の意味はないという状況にさえなっています。もう何度も言いますが、クラスター戦略は完全に破綻しているのです。

2. シンポジウム講演に対する疑問

前置きが長くなりましたが、本筋のシンポジウム講演の感想に移ります。上記のような専門家会議の性質とそのメンバーを主体にした講演会ですから、結論から言えば、少なくとも会議メンバーによる講演では、クラスター戦略の自己肯定化に終始した内容になっていたというのが率直な感想です。シンポジウム講演後の最後の挨拶でも、日本のクラスター戦略に期待するという言葉で結ばれていました。破綻しているクラスター戦略をどうやって続けるというのでしょうか。

講演で使われていたスライドの内容についてはたくさんの感想があるのですが、それらの中でも一つだけ、図1、2に関連するものとしてここに挙げてみたいと思います。図3として挙げたスライドには、2月25日時点で考えられたPCR検査の方針のいくつかのオプションが並べられていました。ここで、驚いたのは、限られたPCR検査資源を現有の検査体制(帰国者・接触者外来)で生かすべきという、現状肯定の方針が文句なしのように選択されていたことです。

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図3. 2月25日で考えられたPCR検査についてのオプション(感染症学会特別シンポジウム講演より).

この時点で、なぜ「限られた検査体制」で終わらせてしまうのでしょうか。図2に示すように、少なくとも2月25日以前の方針では、地方衛生研究所等の検査機能の向上を図るとされていたにもかかわらず、これを放棄している(わざわざ従来の方針を削除している)形です。限られた検査体制で、流行を制御できるとでも思ったのでしょうか。

普通の感覚なら、この時点でも遅まきながら緊急に検査体制の拡充するということを考えるはずです。なぜなら、検査の保険適用とともに3月後半になって民間の検査が急速に増え、4月に入って東京都医師会は独自の検査センターの設置に動き、厚生労働省は方針を転換してドライブスルー方式の検査を勧めているわけですから、当時の状況でもできないはずがありません。

韓国では1月20日の国内感染者の発生の数日後に発熱外来を設置し、選別診療所を作り、さらには2月下旬にはドライブスルー方式を加えるという3本立てPCR検査を行なっていました(ブログ記事:ドライブスルー方式の導入で検査拡大か?)。このような例は十分にお手本にすることはできたはずです。NHKの番組「NHKスペシャル」では、当該会議メンバーが韓国の真似はできないと言っていましたが(ブログ記事:COVID-19に関するNHKスペシャルを観て)、その実、現在の日本では部分的に真似をし始めているわけです。

さらに、講演者(押谷仁教授)がスライドで示しながら、「急速な感染拡大が起こるメカニズムとして、PCR検査を対策の中心とした場合、最初はよいがそのうち無症状感染者を中心に見つけることができなくなって感染が拡大する」と説明していたのを視聴して、この人は一体何を言っているのだろうと思いました。見つけられなくなるのは検査を絞った場合です。

そして、「PCR検査ができるキャパシティーには限界があり、その限界に近づいた時に、検査センターや病院に人が押し寄せて興奮して大声をあげる」という説明に至っては、唖然という感じでした。もはや言い訳にもなっていません。

2月25日の時点で、どうしてこのような見解の下に方針決定が行われたのか、これまでの記者会見も観ても講演会を聴いても、とても理解ができません。実際、政府専門家会議でどのような議論がなされ、意思決定が行われたのか、是非とも当時の議事録を公表してほしいと思います。座長がその気になれば議事録は公開できるはずです。それとも議事録さえないというのでしょうか。

3. 日本感染症学会の見解

今回の特別シンポジウムを企画・開催した日本感染症学会PCR検査に関する考え方はどうなのでしょうか。結論から言えば、国のクラスター戦略を後押しするような、重症患者の確定診断に検査を限定適用するという方針が当初から貫かれています。これは先のブログ記事「あらためて日本のPCR検査方針への疑問」でも指摘しています。

2月21日に日本環境感染症学会との連名で公表された「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)―水際対策から感染蔓延期に向けて―」という文書 [1] では、医療従事者向けに「軽症・中等症状感染者についてはPCR検査を適用せず、自宅の安静を指示する」という指針を示しています(図4-注1、注2)。

f:id:rplroseus:20200420100113j:plain図4. 日本感染症学会・日本環境感染学会によるCOVID-19対応への指針ー医療従事者向け(2020.02.21文書 [1] からの抜粋・注記).

そして、同じ文書内の一般人向けへの指針では、「軽症者は特に治療は必要なく、自宅で安静にしておくことで十分」とした上で、「早い段階でのPCR検査は決して万能ではない」と、PCR検査を希望するであろう一般人に対して牽制する見解を示しています(図5)。

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図5.日本感染症学会・日本環境感染学会によるCOVID-19対応への指針ー一般人向け(2020.02.21文書 [1] からの抜粋・注記).

そしてダメ押しのように、4月2日に出された新型コロナウイルス感染症に対する臨床対応の考え方―医療現場の混乱を回避し、重症例を救命するために―」では、「軽症例では基本的にPCR検査を推奨しない」とされています(図6)。このような指針は、検査に関して、現場の医者の判断に大きく影響するでしょう。

しかし、軽症の人は検査を受けられず、自宅で安静と言わられたらどうなるでしょうか。軽症者は自己(自宅)隔離というのは世界標準でもありますが、海外の場合は医者に連絡すればすぐに診察と検査が受けられるのが一般的です。一方日本では、自粛するにしてもなかなか検査を受けられず、自分が感染者かどうかわからないまま必要最低限の行動をすることによって、家庭内感染市中感染を起こし、さらには(ほかの病気・ケガなどで搬送されることによって)院内感染の原因になってしまうことも容易に想像されます。最悪のケースとしては、自宅療養中に急速に重症化し、死亡することもあるでしょう。

f:id:rplroseus:20200420100245j:plain図6. 日本感染症学会・日本環境感染学会による新型コロナウイルス感染症に対する臨床対応の考え方―医療現場の混乱を回避し、重症例を救命するために―(2020.04.02文書からの抜粋・注記).

このように、頑なにPCR検査を毛嫌いする学会の姿勢はどこから来るのでしょうか。名目上は、医療業務への負荷の軽減や医療資源の有効的活用ということになるのでしょうが、SNS上ではその理由についてさまざまな意見が飛び交っています。

ここではそれを詮索することは避けた上で言える重要な点は、当該学会がPCR検査を、あくまでも医療のための手段としてしか考えていないということです。すなわち、患者の入退院の確定のための医療資源としてのみ考え、それを確保しておきたいという意向が働いているように思えます。

感染症拡大抑止の基本は「検査と隔離」であって、医療の前の最前線の検査を抜きにしては語れません。まずは症状に関わらない濃厚接触者の検査、有症状者の検査、および検疫検査で感染者を探し出し、医療の前に隔離するということが求められるのですが、その公衆衛生学的基本概念が当該学会ではスッポリ抜けているのです。

院内感染抑制の観点から言えば、市中感染した入院患者が入ってくるということも、ちょっとした想像力があれば浮かぶはずです。であるなら、医療の機能不全になることを防止する観点からは、救急患者は致し方ないとしても、原則すべての患者の入院時にPCR検査をする(しかも繰り返し行なう)という予防対策も当然考えられるわけです。

しかしながら、当該学会の上記の文書からはそのような想像力は感じられません。COVID-19患者治療時の院内感染ならともかく、日本ではCOVID-19治療とは関係ない状況での院内感染が拡大しています。本戦に臨む前から負けているということです。感染症学会は、先の文書のような誤ったメッセージを医療従事者に送るのではなく、公衆衛生上の対策も付記して送るべきでした。

日本感染症学会の舘田一博理事長は、政府専門家会議のメンバーでもあります。厚生労働省、政府専門家会議、そして当該学会による三位一体の、クラスター作業仮説と引き換えの「検査と隔離」の軽視は当初からあり、それが現在の感染経路不明の拡大を許したことは明白であると思います。上記した「PCR検査を対策の中心とした場合、最初はよいがそのうち無症状感染者を中心に見つけることができなくなって感染が拡大する」という専門家会議メンバーによる見解は、まったくの欺瞞であると言わざるをえません。事実はまったくの逆です。

4. 座談会発言について

気になるのは、2月27日の新聞報道で見られる専門家会議メンバー座談会での発言です [2]。この座談会では脇田氏、尾身氏、押谷氏のコアメンバー3人が登場していますが、「不顕性感染からの二次感染の可能性」を指摘しているということです。ここは重要な点です。

その上で押谷教授は「都市封鎖は19世紀の対策」「和歌山は感染の広がりを抑えている」と述べ、さらに「濃厚接触者を調査しても感染の連鎖が全然みつからないのに、なぜ流行するのか」「1人が10~20人に感染させているようなクラスターがあるはずだ。それ以外の感染の連鎖は自然に消えていく」、「だからクラスターを見つけて、他に広がらないようにつぶせばよいと、2週間前に気がついた」と自らの「クラスター作業仮説」に至った経緯について述べています。

しかし、これらの言述は矛盾だらけです。都市封鎖は古典的ではありますが、接触削減(自主隔離)として感染拡大抑制に最も効果的な方法です。現代はPCR検査という武器があるので、検査で市中感染を拾い上げてすぐに隔離するという対策をとれば、接触削減は緩めることができます。しかし、現実にはクラスター戦略を選ぶことによって、近代的なやり方を捨てました。とても「古典的」と揶揄できるような立場ではなく、現に日本は、接触8割削減を実施する羽目になっています。

和歌山の感染拡大抑制は、徹底的なPCR検査で感染経路を潰したというクラスター戦略とは逆の成功例です。そして専門家会議メンバーは不顕性感染からの二次感染を認めています。にもかかわらず、これらと反駁するような狭い範囲の有症状クラスターに的を絞り、PCR検査を入院患者に限定するという戦略をとったわけです。

真のクラスター対策は、無症状・発症に関わらずスーパースプレッダー(Ct値で判断できる)に注目して、その周辺を面的に徹底的に追跡・検査することです(→あらためて日本のPCR検査方針への疑問)。

有症状クラスターを抑えれば、何とかなるというような妄想とも言うべき作業仮説に、自らが溺れてしまったというところでしょうか。そして、繰り返しますが、クラスター戦略に乗っかった関連学会も、市中感染が起こることも、市中感染者が患者として病院に入ってくることも、未検査の自宅療養者が重症化し死に至る可能性にも、想像も及ばなかったいうことだと思います。

5. 現行の感染症対策の問題点と改善

クラスター対策では「重症化しやすい患者を集中的に検査で拾い上げ治療する」という方針であったはずですが、検査制限と入院を遅らせることによって医療アクセスへの悪さを助長し、返って重症化する感染者を増やし、さらに死亡にまで至る数が決して少なくなく、その傾向は依然として続いています。この事実は全く報道されていませんが、死亡数の上昇スピードや100万人あたりの死者数は、東アジアの中ではフィリピンにとともに群を抜いています。これについては、後日分析して紹介したいと思います。

結局、日本の現状は、緊急事態宣言に伴う物理的接触削減とPCR検査をベースにした感染機会削減という、クラスター戦略とは逆の方向へ舵を切っています。専門家会議も当該学会も、このように方針転換に至った理由を説明していただきたいと思います。

思えば、前回の新型インフルエンザのパンデミックを経験して、2010年、国は今後PCR検査の拡充と、地方衛生研究所の法的位置付けが必要と報告しています(図7-注1[3]。そして、感染症学会も、検査も含めた充実した体制が流行を抑制するのに有用であったと述べています。国は何年も前にパンデミックに向けたPCR検査の充実を自覚しながら、何もしてこなかったということなのでしょう。

そして、今回の2020年2月25日の方針変更では、検査機能の拡充が削除されているわけです。

f:id:rplroseus:20200420134300j:plain図7. 新型インフルエンザ(A/H1N1)対策総括会議報告書における体制の見直しに関する提言 (2010.06.10、抜粋・注記) [3].

現在、毎日メディアから発表される感染者数は、検査が控えられた上での陽性患者数です。昨日のシンポジウムでも、このバイアスのかかった陽性患者数に基づいて、海外からの帰国者の影響とか、連休の緩みが出たとかの発表がなされているのを見て(事実それらがあるにしても)、科学的には実に虚しいという気持ちとともに、本当にこういう発言で大丈夫か?という気もしました。

そして、東京都では感染者増大が抑えられているという声が専門家から出ています。見かけ上は、確かに感染増大は抑えられているかもしれませんが、感染の実態は誰にもわからないでしょう。もし、確定陽性者数の増加が抑えられているとするなら、それはそれで緊急事態宣言と8割接触削減の導入時期の是非について、専門家会議は説明するべきでしょう。なぜなら、実際感染が起こっていたのは、潜伏期と検査に至るまでのタイムラグ(4日以上待機)を考えると、陽性者確定日の少なくとも2週間前と推定されるわけですから、ひょっとしたら感染のピークが過ぎてから緊急事態宣言と接触削減が出されたかもしれないからです。

おわりに

これまでの厚労省や専門家会議の対応を見ていると、そしてシンポジウムでの講演を聴いていると、国もクラスター戦略の実行部隊も学会も、一部、エリートパニックに陥っているのではないかとさえ思えます。エリートパニックとは、一般人がパニックになることを恐れて、権力側が情報を都合よく操作したり、辻褄を合わせたり、隠蔽したりすることです。

厚労省の3月8日より前のツイートが、早いタイミングでTLから消去されるというのもその一つでしょうし、専門家会議の議事録が出てこないということもそれに当たるかもしれません。上記シンポジウムにおける講演の一つで、専門家会議への批判を牽制するような発表があったことも、その流れの一つと捉えることができるかもしれません。

一般に、権力側のエリートの多くは、自らの非や過ちを認めようとはしませんし、国民への情報操作を悪いこととも思っていないという傾向があります。国や専門家会議の対して、そのようなことがあるとは思いたくありませんが、少なくとも事実を直視し、努めて合理的に冷静になってほしい、そして生データをも含めた情報公開に徹してほしいと思います。

これからCOVID-19とは長い闘いになります。今の厚労省や専門家会議の姿勢を見ていると、これから第2、3、4...と続くであろう流行の波に対処できず、また失敗を繰り返すのではないかと懸念されます。

もとより、行政検査を担わされた保健所職員や現場の医療従事者たちの激務たるや、想像に余るものがあります。政権や国には、これらを少しでも緩和し、感染拡大を抑制するためのより実効性ある対策と、信頼性の基盤になる情報公開を望むものです。

引用文献・記事

[1] 日本感染症学会: 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)―水際対策から感染蔓延期に向けて―. https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_mizugiwa_200221.pdf

[2] 日本経済新聞: 新型コロナ座談会 連鎖断てるか、この1~2週が正念場. 2020.02.27. https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56113520X20C20A2M10800/

[3] 厚生労働省: 新型インフルエンザ(A/H1N1)対策総括会議報告書. 2010.06.10.
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/dl/infu100610-00.pdf

引用した拙著ブログ記事

2020年4月17日 ドライブスルー方式の導入で検査拡大か?

2020年4月13日 COVID-19に関するNHKスペシャルを観て

2020年4月6日 あらためて日本のPCR検査方針への疑問 

2020年3月4日 国内感染者1,000人を突破

                 

カテゴリー:感染症とCOVID-19

カテゴリー:社会・時事問題