Dr. Tairaのブログ

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やはり市販のパセリはヤバい!!


庭のパセリイタリアンパセリキアゲハの幼虫に丸裸にされているのを見つけて、飢え死にされてはまずいと思い、急遽市販のパセリを買ってきて与えました(https://blogs.yahoo.co.jp/rplelegans130/16398409.html)。与える前にパセリを一応入念に水洗し、その上に見つけた10頭を移動させ、モリモリ食べるところまでは確認しました。

しかし、今朝になってみると、2頭だけが4齢に変身し、残りは3齢のまますっかり元気がない状態になっていました。やはり、市販の食卓用パセリはよくなかったようです。おそらく水洗で残留農薬が十分に除去できなかったものと思われます。

急遽、園芸店へ行き、鉢植えのパセリとイタリアンパセリを購入し、入念に水洗した後、幼虫に与えましたが、この時点で8頭は死亡したか、もう見込みがないような状態になっていました。写真は生き残った2頭の4齢幼虫です。

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パセリは、ヨーロッパが原産なので、高温多湿の日本では病気にかかりやすく、害虫も付きやすいことが知られています。現にウチでもキアゲハの食害にあったわけです。

そのため、市場に出荷されるパセリには、収穫直前まで多種多様な殺菌剤殺虫剤が使われています。これらの中には発ガン性のある有機塩素系殺菌剤や、神経毒性がある有機リン系殺虫剤も含まれます。健康に害のない程度の濃度で使われているとは言え、パセリの乾燥粉末が入っている加工食品などからも、高濃度に検出されますので、油断はなりません。

既出の論文をあらためて読んでみると、国内産のパセリからは、EPN(O-ethyl O-4-nitrophenyl phenylphosphonothioate)やダイアジノンを含む有機リン系殺虫剤が比較的高濃度で検出されているようです [1, 2]

くしくも今回、キアゲハの幼虫に市販のパセリを与えたことで、それが幼虫の致死量レベルの残留農薬で汚染されていることが、再認識されました。キアゲハにはかわいそうなことをしてしまいましたが、それを正直に教えてくれました。


参考文献

1. 永山敏廣ら: 国内産農作物中の農薬残留実態. 食品衛生学雑誌 35, 652-660 (1994). https://www.jstage.jst.go.jp/article/shokueishi1960/35/6/35_6_652/_article/-char/ja

2. 上野英二ら: デュアルカラムGC-FPD,-NPDによる野菜・果実中の有機リン系農薬の多成分分析. 食品衛生学雑誌 42, 385-393 (2001). https://www.jstage.jst.go.jp/article/shokueishi/42/6/42_6_385/_article/-char/ja