Dr. Tairaのブログ

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酷暑への水分補給対応


西日本で豪雨があったかと思えば、今度は酷暑が始まりました。今日の天気予報は、全国的に軒並み真夏日(最高気温≥30℃)、あるいは猛暑日(≥35℃)[1]であることを伝えています(図1)。

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図1. 今日のヤフー天気情報(左)とTVニュースによる予想最高気温(2018.07.14 NHK「週間まるわかり」より)

暑さとともに必要なのが、熱中症対策です。私は先日、日中30℃以上の中を歩いている最中に軽い熱中症になってしまいました。生まれて初めての経験です。普段から気をつけているつもりだったのですが、不覚でした。

年齢別の熱中症発生率をみると、圧倒的に65歳以上の高齢者が多く、熱中症による死者の約80%を占めます(図2)。あとは中高生のスポーツ中の熱中症が目立ちます。

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図2. 年齢別による熱中症の発生率(2018.06.06 NHK暮らし解説より)

高齢者に熱中症が多い原因としては、もともと高齢者が体の水分量が少ないことが挙げられています(図3)。そのほかに、喉の渇きを感じにくいなどの体のセンサーが衰えていることも原因としてあります。

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図3. 年齢別による人間の体の水分量(2018.06.06 NHK暮らし解説より)

人間の体重の半分以上は水であり、安静時においても1日約2.3 Lの水分が体から出ていきます(図4 [2]。すなわち、1日2.3 L以上の水を摂る必要があります。このなかで、半分弱は食事で摂ることができますが、残りは飲料水として直接摂る必要があります。

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図4. 男性の安静時におけるの体の水の出入り(文献2より作図)

実際は、活動による発汗や、気温上昇による発汗がありますので、今の時期は2 L近い飲料水の摂取が必要になるでしょう。2 Lのペットボトル1本分です(図5)。

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図5. ペットボトル2 L分の飲料水

ここで、多めの水分を補給するときには、電解質バランスに注意をすることが必要です。すなわち、私たちの体液細胞外液)は、ほぼ0.9%の食塩水(生理食塩水)に相当する電解質(イオン)を含んでいますが、この濃度の維持によって細胞の浸透圧と体のはたらきを保っています。

もし、大量の真水を一度に摂ると、体液が薄まることになります。体は、電解質バランスを保とうとして、細胞から電解質を排出しますが、そうすると細胞自身の電解質が不足してしまい、体調を崩す可能性があります。

したがって、多めの水分を補給するときには、真水ではなく電解質を溶かした水(0.3%程度の食塩水 [飲みやすくするために砂糖む加えてもよい])を摂るか、市販のスポーツドリンクを摂る必要があります。


参考文献


2. 榊佳之・平石 明(編):理工系学生のための生命科学・環境科学. 東京化学同人, 東京, 2011年. http://www.tkd-pbl.com/book/b88534.html