今日インターネットを検索していて、「20代男性のうち4割が童貞」という記事 [1] に目がとまりました。これだけの情報社会の今日でありながら、若者の4割が女性経験がないとは少々異常であり、驚きました。
4割が童貞というのは、コンドーム製造会社による男女1万4千人とを対象とするアンケート調査の結果によるものです。明らかに、日本で行われる若者のセックスの数が減っており、このままで行けば日本人は絶滅の危機に瀕するだろう、と記事は述べています。
さらに、童貞が増えているということだけではなく、「20代未婚男性の6割にパートナーがいないことがわかった」と記事は述べています。なんと20代男性は、セックスのみならず恋愛もしていないことがわかったのです。
なぜ、セックスや恋愛が少ないのか、記事には信じられないような男性側の理由が指摘されていました。
一つは、相手に告白してフラれるのは気まずくなるので、それならば最初から一人の方がよいという理由です。
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恋愛をしない上記の理由は、まさしく現代若者のリスク回避、内向きの思考性と言えます。これは前のブログ記事「世論調査に見る男女・世代間のギャップ」(https://blogs.yahoo.co.jp/rplelegans130/16302876.html)で指摘しました。
情報社会やSNS環境はすべての世代に対してオープンであり、20代男性にだけ特別な場を提供しているものではありません。ところが、同じ20代女性や他の世代に比べて、20代男性ははるかにリスク回避の傾向があると言えましょう。このような状況を考えると、やはり20代男性は情報社会やSNS環境の選択圧に影響を受けやすい世代ではないかと考えてしまいます。
リスク回避の結果、ますますゲームや自己肯定型の相互フォローのSNSに走り、それを心地よいと感じ、その状況(in-groupの中)に安住している状況が見えてきます。
記事にあった気になる学生の意見を直接以下に抜粋して引用します [1]。
「少子化は課題ですけれども、僕らの世代は恋愛なしで幸せだと思うんです。だから恋愛をしろ!とプレッシャーをかけられても困惑してしまいます。未婚が当たり前なのだから、その前提で会社でも指導していただきたいです」
「少子化問題に今から取り組んでも、労働力になるのは先です。だったら恋愛ナシでもこれだけ充実してるんだから、それでいいじゃないかと思っています。恋愛をしなくてはならない社会よりも、してもしなくてもいい社会の方が豊かなんじゃないでしょうか?」
これらの意見は少々開き直りととれないこともないですが、もし本気でそう思っているのなら、これはとんでもない勘違いです。少子化・恋愛なしは、長期的に人口、労働力、税収を減少させ、社会システムと文化を衰退させ、国力を衰退させていきます。気が付いたときにはもう手遅れです。
自らいろいろと挑戦して、それでも恋愛できないというのならまだわかりますが、最初から恋愛放棄することは、自己存在の生物学的意義をも否定しています。
前のブログ記事「2050年へ向けた縮小日本の衝撃」(https://blogs.yahoo.co.jp/rplelegans130/16304661.html)で、いまの人手不足を実は団塊の世代の大量退職者を含む高齢者が最後の砦として労働力をカバーしている現実を述べました。つまり今の若者の生活にある充実感は、高齢者と海外からの安い賃金労働者の頑張りの上に成り立っているわけです。
一方で、今の若者が高齢者よりもこの問題に無頓着で、恋愛をしなくても充実しているという仮想世界にいる現状は深刻だと思います。3500万人の人口減になると言われている2050年に、現役世代として最も厳しい影響を受けるのは今の20-30代の若者のはずであり、さまざまな社会保障制度など、今ある社会からの恩恵を受けられなくなる可能性があります。
参考文献
1. トイアンナ:「20代の4割が童貞」男が告白すらできなくなった驚きの事情. http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55784