Dr. Tairaのブログ

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ノンアルコール飲料

世の中には、ノンアルコール飲料、あるいはビールテイスト飲料と呼ばれる飲み物が市販されています。けっこう売れているようです。夕方のTBSニュース番組Nスタを観ていたら、ノンアルコール飲料を取り上げていました(図1)。
 
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図1. ノンアルコール・ビールテイスト飲料(2018.5.8 Nスタより)

一般の人々の間ではノンアルコールビールなんて呼ばれていることもあるようです。図1に示した番組の絵でもノンアルコールビールという表示があります。しかしこの呼び方は変です。なぜなら、ビールは以下のように酒税法で厳密に規定されているからです。
 
ビールの定義
麦芽,ホップ,水および麦その他の政令で定める物品を原料として発酵させたもの
政令で定める物品の重量の合計が麦芽の重量の100分の50を超えないこと
 
つまり、ビールと呼ぶからには、麦を発酵してできたアルコールを含み、かつ麦芽の比率が50%以上(具体的には50–67%)である必要があります。ノンアルコールビールという表現だと、ノンアルコールとビール(=発酵アルコールを含む飲料)で矛盾した言い方になります。
 
ちなみに、ビールには酒税がかかっているので、私たちが買うときはそれが上乗せされた値段になり、それだけ高いです。

そこで、アルコール飲料のメーカーは酒税による販売価格の上昇を避けるために、いろいろな手段をとっています。一つは、故意に麦芽の比率を50%未満にしたアルコール飲料をビールではなく発泡酒として販売しています。もう一つは麦芽以外の原料を使ったり、発泡酒に別のアルコールを混ぜて、新ジャンル飲料(スピリッツ、リキュール)として売っているわけです。
 
発泡酒や新ジャンルは決して表示にビールとは記してありません。安いからといって気にしないで買ってしまうと、実はビールではなかったということもあります。ひょっとすると、発泡酒や新ジャンルを最後までビールのつもりで飲んでいることもあるかもしれません。スーパーでの陳列を見てもちょっと見ただけではわかりません。値段を見て気づくほどです。

ノンアルコール飲料に戻りますが、あくまでもこれはノンアルコールビールではありません。メーカーのHPや表示を見てもは、そのような呼び名はどこにも見当たりません。ビール風味(ビールテイスト)、ノンアルコールとしか言っていないと思います。カテゴリーとしては清涼飲料水ソフトドリンクに入ります。
 
上記のNスタでは、ついに透明なビール風味ノンアルコール飲料が6月から販売されることを取り上げていました。ビールと同じ色をしていると職場で飲みづらいということがあるようです。
 
私は別の点でノンアルコール飲料が気になっていました。それはいずれの製品でも独特の微妙な人工甘味料の味がすることです。
 
そこで市販されている主なノンアルコール飲料に添加されている人工甘味料をあらためて調べてみました(図2)。

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図2. 市販の主なビール風味ノンアルコール飲料に含まれる人工甘味料
 
図に示すように、調べた製品ではすべて人工甘味料ステビアは天然由来)が添加されていましたが、アセスルファムKが圧倒的でした。一般の清涼飲料水では、加えてスクラロースが使われている場合がありますが、ノンアルコールだとなぜかアセスルファムKです。
 
この理由についてはまた調べてみたいと思います。