Dr. Tairaのブログ

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異所性脂肪


健康と脂肪に関連して、皮下脂肪や内臓脂肪という言葉はよく聞きますが、「異所性脂肪」というのは、まだ一般には馴染みがないと思います。私も今日のNHKあさイチの放送で、あらためて詳しく知りました。

普通、脂肪は脂肪細胞に取り込まれて皮下脂肪や内臓脂肪になります。図1では丸い形で皮下脂肪を示してありますが、その実体である脂肪細胞は実際に丸い形をしています。

ところが、脂肪細胞に脂肪をため込む力が弱い人は脂肪が脂肪細胞に取り込まれず、漏れた状態でそのまま筋肉や内臓にくっついてしまうことがあります。これが異所性脂肪です。

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図1. 脂肪細胞に脂肪を取り込む力が弱いとできる異所性脂肪(2018.5.7 

この異所性脂肪がたまりやすい傾向は、太っているか、太っていないかは関係なく見られるそうです。異所性脂肪の一つとして筋肉の中に脂肪がたまり、脂肪筋になってしまうと、血液中の糖の取り込みができなくなり、糖尿病になりやすいことが指摘されていました(図2)。

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図2. 肥満とは直接関係ない異所性脂肪(左)および脂肪筋による糖の取り込み能低下(右)(2018.5.7 NHKあさイチより)

異所性脂肪があるかどうかの一つの診断として、ALT(GPT)中性脂肪の量があります。ALT = 25 IU/L、中性脂肪150 mg/dLが目安ということです(図3)。

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図3. 異所性脂肪の診断基準としてのALTと中性脂肪(2018.5.7 NHKあさイチより)

番組の後半では、異所性脂肪発生の予防としてウォーキングを勧めていました。1日8000歩が目標と言っていましたので、かなりの歩数です。10分のウォーキングで約1000歩ですので、時間にすれば1時間20分に相当ということになります。

歩き方にも工夫があって、脂肪撃退にはインターバル速歩が有効です。すなわち、3分間急ぎ歩き、3分間ゆっくり歩きを繰り返す歩き方です [1]

毎日実践するとなると、かなりの根性が必要になりそうです。


参考文献

1. NHK健康ch:運動の健康効果「インターバル速歩に挑戦!」https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_13.html