Dr. Tairaのブログ

生命と環境、微生物、科学と教育、生活科学、時事ネタなどに関する記事紹介

世界の指導力のある50人


雑誌フォーチュン(Fortune)は、米国タイム社がタイムと共に発行する世界最大の英文ビジネス誌です。毎年、この時期になると「世界の指導力のある50人」というランキングを発表しますので、例年どんな人物が選ばれるかというのが興味の対象になります。私も楽しみにしています。

米国時間で4月19日に発表された2018年版を見ると、1位に銃規制を唱える高校生、2位にゲイツ夫妻、3位に#MeToo、4位に文在寅大統領と続き、37位に唯一日本人として中満泉氏が選ばれました (図1 [1]。早速、日本の多数のメディアがこのことを記事にしました [2]

イメージ 1
図1. フォーチュンが発表した2018年「世界の指導力のある50人」[1]

中満氏は、日本人女性初の国際連合事務次長として軍縮担当(UNODA)上級代表を務めている方で、そのことだけでも偉大さが分かるのですが、今回はさらにそれを世界に知らしめる形になりました。スティムソン・センターCEOのライアン・フィンレイ氏は以下のような評価コメントを寄せています [1]

"She has a reputation for clearheaded pragmatism, proven in previous UN roles involving refugees and crisis response. Her diplomatic skills have been tested by the use of chemical weapons in Syria, but her quiet activism has helped prevent runaway conflict across the region." 

訳: 彼女が頭脳明晰な現実主義者であるという評判は先の難民危機対策での働きで証明されている。彼女の外交能力はシリアでの化学兵器使用の場面で試されてきたけれども、その静かではあるが積極的な行動が地域紛争に発展するのを防いでいる。


彼女の言動はTVを通してしか見たことがありませんが、確かにフィンレイ氏のコメントは納得できるものです。

今回の上位の選ばれ方を見るとまさに時流と言うべき感じがじます。米国の銃乱射事件の被害校としての高校生、セクハラ問題のMeTooというのが、団体として名を連ねており、また政治家として文在寅大統領やマクロン大統領の名があります。

このランキングは、米国の一経済誌によるものではありますが、世界120ヵ国で読まれているといわれているので、その影響力はかなりのものです。このランキングを見ることによって、実際にポジティヴな影響力をもつ指導者に対する世界の見方が理解できます。


参考文献

1. Fortune: The World's 50 Greatest Leaders, April 19, 2018. http://fortune.com/longform/worlds-greatest-leaders-2018/

2. 東京新聞:「偉大な指導者50人」に中満氏 米経済誌選定、日本人で唯一」2018年4月21日. http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018042101001277.html