Dr. Tairaのブログ

生命と環境、微生物、科学と教育、生活科学、時事ネタなどに関する記事紹介

#微生物

新しいプロバイオティクス

はじめにープロバイオティクスとは 私たちは、マスメディアやインターネットなどを通じてプロバイオティクス(probiotics)という言葉をよく聞きます。これは共生を意味するprobiosisを語源としており、アンチバイオティクス(=抗生物質、antibiotics)に対…

美肌菌を増やす

今朝のNHKでは「美と若さの新常識」というテーマで、顔を中心とする肌を健康に保つ方法について放送していました。キーワードは表皮ブドウ球菌という細菌です。この細菌は、グリセリンという三価アルコールを分泌して皮膚の保水の役割を担っていることが知ら…

キノコという生物

キノコは、動物でも植物でもない風変わりな生物ですが、食用になる種もたくさんあって私たちの生活にとても馴染みが深いものです。私はキノコにはそれほど詳しくはありませんが、生物学を専門としてきた職業柄、山の中や公園を歩くときには、地面や木の幹に…

セミの翅には抗菌作用がある

今朝9時のNHKニュースで、「セミの翅に抗菌作用の特殊構造」があると伝えていました(図1)。本ニュースの情報源は関西のNHKのウェブページにありました [1]。 「おや?、また新しい何かが発見されたのかな?」と思いつつ期待しながらテレビを観ましたが、正…

食生活と腸内細菌

腸内細菌は、食生活や健康との関連で今や頻繁にメディアにも取り上げられる一般的な言葉になりました。ときには腸内フローラという言い方もされます。今日のNHK-Eテレ「人生レシピ」では、再放送(昨年4月放送分)でこの話題ついて取り上げていました。 まず…

雨に濡れたススホコリと百日草

ウチの植木鉢の上に生えたススホコリが、一昨日子実体になりましたが(https://blogs.yahoo.co.jp/rplelegans130/16354010.html)、雨に濡れて胞子がむき出しの状態になってきました(写真1)。植木鉢の色と同化しています。 写真1 写真2は、傍に置いている…

ススホコリ、子実体ヘ変化

昨日の夕方、ススホコリの変形体を見つけたことを紹介しました(https://blogs.yahoo.co.jp/rplelegans130/16353484.html)。 今朝(12時間後)見たところ、それが子実体になっていました。今でも少しづつ変化しています。 昨日夕方の栄養体と、約14時間後の…

今日のススホコリ

この地球上には、変形菌と呼ばれる不思議な生物がいます。動物でも植物でもカビでも原生動物でもない生物ですが、私たちの生活環境の身近なところにいます。 変形菌の代表がススホコリ(Fuligo septica)です。以前のブログ記事でも、ウチの植木鉢にススホコ…

麹菌と酵母

はじめに 今日のNHKあさイチでは麹(こうじ)を取り上げていました。DJ KOOさんが金沢を訪れ、麹を入れた手湯(図1)や甘酒を使ったパンケーキ、肉じゃがなどの料理(図2)を体験、紹介していました。 図1. 麹を入れた手湯(2018.6.21 NHKあさイチより) 図2…

ススホコリ

梅雨の時期になると植木鉢などにススホコリ(Fuligo septica)が生えてくることがあります。ススホコリは、キノコような、あるいはカビのような感じで生えてくる奇妙な生き物で、変形菌(真正粘菌)と呼ばれる仲間の一種です。 ススホコリを含めた変形菌は、…

有馬温泉と鉄細菌

前のページで炭酸水の効能(https://blogs.yahoo.co.jp/rplelegans130/16327041.html)を紹介しましたが、日本には炭酸泉と呼ばれる温泉や水環境がたくさんあります。炭酸泉で有名な場所の一つが兵庫県神戸市にある有馬温泉です(写真1)。日本三大古湯の一…

生活環境のカビ

私たちの周囲はカビだらけです。というか、私たちの体そのものがマラセチア菌をはじめとするカビの仲間で覆われています(ブロ記事:抗菌グッズを考える)。あまり神経質になる必要はないのですが、アレルギーや病気の原因になるカビもいますので、注意が必…

カンピロバクター

今日のNHKあさイチで食中毒をテーマにしていました。カンピロバクターと黄色ブドウ球菌による細菌性食中毒です。 厚生労働省によれば、カンピロバクターが原因の食中毒は年間350万人と推定されています(図1)。実際のカンピロバクター食中毒と確認された感…

メーカーによる乳酸菌の捉え方

はじめに これまで、ヨーグルトなどの発酵乳に関連して、乳酸菌やビフィズス菌についてブログ記事を書いてきました(→ビフィズス菌、乳酸菌とテレビCM )。今回は、実際に発酵乳を製造しているメーカーが乳酸菌という細菌をどのように捉えているか、紹介した…

抗菌グッズを考える

はじめに 私たちの周囲はウイルスや微生物だらけです。先のページ紹介したように、空からは膨大な数のウイルスやバクテリアが常時降り注いでいます(→空から大量のウイルスや微生物が降ってくる)。それらをあらためて考えるまでもなく、私たちの体そのもの…

空から大量のウイルスや微生物が降ってくる

3ヶ月ほど前に、ネイチャー系学術誌のISMEジャーナルという微生物生態学専門誌に、「大気中に大量のウイルスや細菌が浮遊している」という論文が出ました(図1)[1]。一般の人が聞いたらびっくりするような内容ですが、空中にたくさんの浮遊するウイルスや細…

プラスチックを食べる細菌

はじめに 昨日インターネットでいろいろなニュースを見ていたら、BBCニュースの記事が目にとまりました。「プラスチックを食べる酵素」という言葉がタイトルにある記事です [1]。さらっと見た瞬間「おー、BBCが取り上げたか」という感じです。今回は、プラス…

滅菌と殺菌

はじめに 微生物は直接目にすることができない小さな生物です。たとえば、バクテリア(細菌)の場合は平均で 1/1000 mm (= 1 μm)ほどの大きさになります。その上で、飲食品の変質や腐敗の原因になったり、ときには食中毒や感染症の原因になったりします。私…

バクテリアの計数と一般細菌

はじめに 細菌(バクテリア)はありとあらゆる環境に生息し、自然界の物質分解・循環に大きな役割を果たしています。生ゴミ処理過程や下水などの廃水処理過程で主要な働きをしているのも細菌です。私たちの生活においても乳酸菌や納豆菌などの発酵食品に関わ…

乳酸菌とテレビCM

はじめに 乳酸菌(lactic acid bacteria)は炭水化物を発酵して乳酸を主要産物として生成する細菌(バクテリア)の総称であり、その定義において種類は問いません。すなわち分類学的意味はありません。その意味でビフィズス菌も乳酸菌の仲間(広義の乳酸菌)…

生きている微生物を顕微鏡で視る

はじめに 別ページ(→生ゴミ処理の微生物を顕微鏡で視る)でも述べたように、蛍光位相差顕微鏡を使って、土壌や水の中に棲む微生物を観察することができます。 位相差モードでは、屈折率の違いで透明に近い細胞を実体として視ることができます。蛍光モードを…

生ゴミ処理の微生物を顕微鏡で視る

はじめに 生分解型(バイオ型)の生ゴミ処理機(器)においては、沢山の微生物が生ゴミの分解に働いています。したがって、どのくらいの数の微生物が実際に存在するのか、どのくらい生きているのか、どのような種類がいるのかを把握することは、運転の適正化…

生ゴミ処理に関する拙著論文

生ゴミ処理に関して筆者がこれまで発表した原著論文と総説(1999〜2016)のリストです。トップベージの「生ゴミ処理コーナー」で紹介している「ベランダでできる生ゴミ処理ー基本マニュアル」やその他の記事の元になったオリジナルデータなどを解析法を記載…